農村に陶芸ブーム 旧幼稚園に大路土窯開く


 農村風景が広がる鳥取県日南町内の集落に、ひっそりと陶芸ブームが訪れている。岡山県新庄村から日南町印賀に移住した陶芸家、杉原大路さん(67)が旧大宮幼稚園跡に「大路土(おろち)窯」を開き、地元住民に陶芸の魅力を伝えている。

■新天地を探し

 十月から発足した「大路土陶芸同好会(おろちやきもんすいちょうかい)」には、近隣住民を中心に約二十人が所属する。ほとんどのメンバーが陶芸は初めて。杉原さんは基礎を中心に、「形は無限」と自由な発想を大切にしながら指導している。「杉原先生が来なければ陶芸をやることはなかった」という生徒の加納愛子さん(76)は、「この年で初めての挑戦。自由で気楽にやっています」と目を輝かせた。

 杉原さんは新庄村の山間に構えていた窯が二年続けて大雪で崩壊し、新天地を探して六月から日南町に移り住んだ。窯をなくして「デンデンムシがナメクジになった感じ」だった杉原さんは、地元住民の協力を得ながら十二月、幼稚園跡の庭に新しい窯を完成させた。窯から上がる煙を見て「おらもまだまだ生かされなければ」と感じたという。もうすぐ、新しい窯で焼いた初めての作品が完成する。
■住民の喜びに

 今では陶芸の先生として親しまれている杉原さんだが、移住するまで人に教えることはなかった。十五歳から陶芸の道に進み、宋時代の名品「曜変天目茶碗」に魅せられてから、ずっと復元に挑んできた。「しゃかりきになっていたので、ほかを見る余裕はなかった」と語る。

 その努力が功を奏し、二〇〇四年に中国・北京市の故宮博物院から栄誉賞と鑑定証書が授与され「世界最高の陶芸家」と賞賛を浴びた。長年の目標の達成と、新しい生活が杉原さんに心境の変化を与えた。「楽しく焼き物をやって、皆さんの喜びにつなげていきたい」−。

 「人やロケーションの明るさが気に入っている」と、土地の魅力を語る杉原さん。今後もずっと日南町に住むことを希望している。同町の増原聡総務課長は「町外に出る人が多い中、杉原さんのように移住してくる人がいることで、町民にも自分たちの地域の素晴らしさを見詰め直すきっかけになればうれしい」と期待する。

 杉原さんの新たな目標は後継者の育成。「人との出会いを大切にしながら、自分の会得したものを伝えたい」と意欲を燃やしている。

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